R8.2.14(土)サンパチ日報代表小泉編@いつかのチョコレート
2月になると、毎年決まって思い出す方がいらっしゃいます。
その方は、私の訪問をずっと待っていたと、ケアスタッフの方から伺いました。
決して金銭的余裕はないであろう暮らしの中で、チョコレートを用意してくださっていたのです。
「こんなものしかあげられなくて、ごめんなさいね」

対人援助の専門職として、利用者から物をいただくことは極力控えるのが本来のあり方だと考えています。
けれど、この時ばかりは、どうしてもお断りすることができませんでした。
差し出された細い手、刻まれたいくつもの皺、準備してくださった時間に込められた想いを、無下にはできませんでした。
その後、さまざまなご事情が重なり、天国への旅立たれる際、ご本人が頼りにしたかったご親族に、ご本人が会えることは最後までありませんでした。
私はケアマネジャーとして初めて、火葬の場でその方の旅立ちを静かに見送りました。
あの日いただいたチョコレートへの、心ばかりのお返しをそっと添えて。
生まれてから多くの苦労を重ね、いくつもの波風を乗り越えてこられた人生だったと伺っています。
それでも、最後まで自分自身の生き方を貫き通した、凛としたお姿が目に焼き付いています。
書類に追われ、効率的に仕事をせざるを得ない日々の中で、私たちはつい、目の前の方の人生の重みを見失いそうになることがあります。
けれど、こうした「記録に残らない交流」の中にこそ、支援の本来の尊さがあるのだと感じています。
その積み重ねこそが、一人の人間の人生を見届けるという、この仕事の真ん中にある大切な役割なのだと考えています。
書類や記録では測れないこの価値を、何よりも大切にしていきたいと考えています。
今日も一日おつかれさまでした。
